子どものスポーツ(学校教育)と習熟度別(能力別)編成による影響

子どものスポーツ(学校教育)と習熟度別(能力別)編成による影響

桑田 大輔(生駒少年ラグビークラブ)

キーワード:習熟度別編成、正規分布、ムーンスパイラル

【はじめに】
子ども達の学校教育とスポーツ育成について、文武両道などの言葉がポピュラーに使われている。実際に学校教育とスポーツ育成には、相乗効果があり、子ども達の発達に比例(文武同道・文武双伸)するとの話を聞き、常に比較対照してきた。

【目的】
 子ども達のスポーツ育成現場では、選抜・飛び級などのレベル別編成を取り入れることが正常として行われている。勿論、レベル別編成での早期育成システムが子ども達、一人ひとりの才能を伸ばす(個の育成)との発行物が多く、現場指導者の多くが実践している。同じ様に子ども達を教育する現場の学校でも、近年、習熟度別(能力別)という習熟度別編成が急激に広がっている
文部科学省のホームページより、「習熟度別(能力別)」検索した、2000年12月22日「教育改革国民会議報告-教育を変える17の提案-(抜粋)」とある。
●「一人ひとりの才能を伸ばし、創造性に富む人間を育成する」
●「一律主義を改め個性を伸ばす教育システムを導入する」
●「習熟度別学習を推進し、学年の枠を超えて特定の教科を学べるシステムの導入を図る」
2003年には、「理解や習熟の程度に応じた指導を実施」している公立小学校74% 公立中学校67%と急激に広がった。学校教育の習熟度別編成とスポーツのレベル別編成は、子ども達の発達にどのような影響を与えるのか調べた。この比較調査により、子ども達の累進的な素質に応じた成長を促進するシステムを、構築できると考えた

【方法】
学校教育については、習熟度別(能力別)編成を取り入れた国々がどのような状況になり、どのように教育改革して、子ども達の学力向上に成功したのか、また、早期選抜される時期の子ども達の生まれ月を集計・分析する
スポーツ育成については、能力別育成システムを採用している競技スポーツのトップアスリートの生まれ月を集計・分析する

【結果】
☆習熟度別(能力別)編成について
▲欧米諸国の小学校では成績「上位」「中位」「下位」のどのグループでも有効性はない
▲小学校・中学校でも学力格差は拡大し、学校全体の学力向上にはつながらない
▲エリート教育を行っている国の成績は、エリート教育を行ってない国の成績より下回っている
(▲佐藤学「習熟度別指導の何が問題か」)
● 子ども達の月別出生数表より、月齢差と学年制による影響で、4~6月生まれ(春生まれ)と1~3月生まれ(早生まれ)では精神的に差異がある
● 能力別編成したクラスの中で正規分布する
☆スポーツの能力別育成について
● 月別出生数表より、子ども達の生まれた日が、学年前半の選手が多く、学年後半の選手は少ない(ムーンスパイラル)
● 学年制以外の区分で育成されている影響で、更に頑張ることができない子ども達が多くなる


 【考察】
 子ども達の育成システムを学校教育・スポーツ育成より多角的に検証した。早期の能力別編成による指導は、頑張ることができない子ども達の割合を増加させ、全体的に強化に繋がらないとのデータが多いのに対して、早期の能力別編成が、子ども達の育成に有効だとの科学的なデータは稀だ
しかし、子ども達のスポーツ育成現場では、指導者(大人)による能力別編成が横行しており、子ども達の動機付けを大きく下げている。競技スポーツの強化に繋がる育成システムの構築が必要だ

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