NZにおけるジュニア(少年)ラグビーのシステムと運営

NZワイカト・ハミルトン地区のケース

西尾建(ワイカト大学)
宮浦成敏(ワイカトラグビーユニオン)

キーワード:ジュニアラグビー、Community Rugby Plan, Grassroots Rugby

【はじめに】
ラグビーワールドカップ日本招致が決まり、日本ラグビーも長期的な視点に立った強化、普及が必要になってきている。本発表ではNZクラブにおけるジュニア(少年)ラグビーの運営および活動内容についてNZラグビー協会の戦略のフレームワークで考えていく。

【NZ協会の戦略とジュニアラグビー】
NZラグビー協会は、コミュ二ティ・ラグビーを重視し7つの柱(1.Small Black rugby 2. Teenage rugby 3.Club development 4.Rugby World Cup 5.Coaching 6. Refereeing 7.Maori rugby)からなるCommunity Rugby Plan を作成し2008年から4年間で2200万NZドル(約15億4000万円/$1NZドル=70円)を戦略的にコミュ二ティ・ラグビーへ投資する方針を打ち出している。2009年も代表強化同様Strong Community Planの中で5才から12才までのラグビー選手の増加をひとつの目標として設定している。

【ワイカトのジュニア・ラグビーの活動と運営】
ワイカト・ハミルトン地区においての13才以下のラグビーに関しては、20のクラブからなるWaikato Central Junior Rugbyという委員会が運営。活動は1年ごとで、2月から3月にコミュ二ティ誌や学校で告知があり3月に体重測定と登録。活動はアンダー6(U6)から1年刻みでアンダー13(U13)まで。シーズンは、7月の冬休み2週間を除く5月上旬から8月下旬までで、平日に練習(週1回)、土曜日に試合(13試合)というサイクルで行われる。U6からU13の試合は午前中に行われる。ルーティン以外の行事としては、シーズン中にトーナメント戦およびエア・ニュージーランドカップ開幕戦での行進と試合観戦。U12,13に関しては上記の活動以外に選抜チームでのリーグ戦が行われるが、基本的にはクラブ単位の活動である。

【Development Plan とジュニアのコーチング】
コーチング、試合実施に関するガイドラインは、NZラグビー協会のDevelopment Planに基づいて作成され運用されている。U13までを、
1.Beginning Rugby (U6-7)
2.Learning rugby (U8-10)
3.Playing rugby (U11-13)
の3つのカテゴリーに分け、各カテゴリーは、年令別にさらに細かく分けられ指導、試合に関するガイドラインが作成されている。

【まとめ】
ジュニア・ラグビーがNZラグビー協会の戦略に沿って効率的に運営されている。特にDevelopment Planは、一貫した強化システムの基礎となるもので、各クラブが運用しやすいものとなっている。コーチは子供とのコミュニケーションを大切にし『ゲームを楽しむ、ラグビーを楽しむ』ということが主眼に行われている。活動はシーズン制(4ヶ月)で短時間(週2回/練習日1時間、試合日90分)であり、多くの子供がラグビーだけではなく他のスポーツも楽しんでいる。またスタジアム行進や試合観戦などトップ選手と触れ合う機会もあり子供の夢を育むという配慮もされている。