ROOKIESから学ぶこれからのスポーツ指導

-熱血教師が実践した5つの方法-

村田トオル(関西大学) 灘英世(関西大学) 溝畑寛治(関西大学)

キーワード:スポーツ指導,スポーツマンシップ,人間形成,社会性,教育効果

【はじめに】
ROOKIESは,反社会的行動を繰り返していた不良たちが野球を通じて立ち直るというドラマである。著者はこのことは行動変容理論に通じるものという仮説を立て,その視点からドラマを視聴した。また教師に対しかたくなに心を閉ざしていた生徒たちが徐々にその心を開いていく過程には,野球を通じて生徒ひとり一人への教育的配慮がなされているのではないかという思いを抱いていた。本稿では,ROOKIESからスポーツ指導について学び,今日スポーツ界が抱えている問題解決の糸口となればと考える。

【具体的な取り組み】
①生徒を心から信じた
 成果をあげるために,教師が生徒を信じぬくことをピグマリオン効果という。ドラマでは周囲から喫煙を疑われたシーンでも「吸ってない!」という生徒の言葉を一点の曇りもなく信じたばかりではなく防波堤となった。
②ほかの生徒と比べなかった
今日では「他者と比べて優劣をつける」を基準に置く評価傾向にある。このような評価基準では劣等感を抱く生徒を生みだすという可能性がある。他者と比べず,生徒の例えわずかひとつの長所であろうが認めると,有能感という感情が芽生える。ドラマでは対戦チームの監督に「生徒の名前が入ったユニフォームを手に取り,長所をきちんと話している」というシーンがあった。
③答えを生徒に託した
 指導方法の傾向として,自分の目の前の生徒を動かそうとして頭ごなしの命令形,否定形の言葉がけをしがちであるが,これではやる気を引き出すことにはつながらない。ドラマでは最後のひとりに対し「迷ってもいい,答えが出るまで待つ」という内発的動機に期待する姿勢があった。
④行動目標を明確にした
 目標とは具体的にどう行動すべきかを示す指標である。ドラマでは「甲子園出場」を掲げ,周囲の失笑を買ったが
実は,生徒のとてつもなく高い承認欲求を満足させるものであった。
⑤いっしょに取り組んだ
 教師と生徒では絶対的服従関係になりがちであるが,生徒が求める教師像とは「友好的な教師」である。ドラマではグランドの草むしりから始まり,練習では率先して走るなど生徒と目線を同じにした。

【結果】
 献身的な5つの具体的な方法によって,生徒たちは「喧嘩,喫煙をやめる」「迷惑をかけた先輩に謝る」「放課後を待ち構えていたかのように嬉々としてグランドへ走って行く」「上手くなるために練習方法を工夫する」「勝利に向かってチーム一丸となる」「川藤に対し明らかな信頼を抱く」という行動の変容がみられた。
 
【結論】
 スポーツ指導とは,選手ひとり一人の個性を引き伸ばし,それが最大限に発揮された結果として競技力向上や勝利に結びつくものであろう。一方,選手にとってはスポーツ特有の競争という要素を通じ,達成感というその時点での強い自己充実から自己の高みを目指してさらに努力を行うのである。その過程は,生きがいとも換言される「今を確かに生きている」感覚とともに,プレーを通じて健全な社会生活につながる他者理解を学んでいる。すなわち,スポーツ指導とは単にスポーツ能力遂行能力開発ではなくスポーツマンシップを通じての「人間形成」なのである。 

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