東海学生ラグビー連盟における競技力向上に向けた取り組み

-2年目の検証-

寺田泰人(名古屋経済大学短期大学部)、岡本昌也(愛知工業大学)、高田正義(愛知学院大学)
中村 司(名城大学)、篠田雅之(東海学園大学)、村瀬賢治(名古屋経済大学)、中本光彦(中京大学)、
小澤良太(愛知学院大学)

キーワード:リーグ再編、プレイオフ制、実力格差、2年目
【目 的】
東海学生ラグビー連盟では、2009年度リーグ戦よりAリーグをA1、A2の2部制とし、それぞれ6チームによる一次リーグを実施し、その対戦結果によるプレイオフ制を導入した。そしてプレイオフの結果により、全国大学選手権大会および全国地区対抗大学大会への出場校の決定、A1-A2リーグ間の入替、A2-Bリーグ間の入替を行った。このリーグ再編の趣旨は、ミスマッチを減らし、接戦のゲームをできるだけ多くすることによりリーグ全体の競技力向上をはかることである。改革初年度のリーグ戦結果では、一次リーグで大きな得点差がついた対戦も多少みられたものの、プレイオフでは大多数のゲームにおいて接戦となり、また最終順位が一次リーグと異なる結果になるなど、当初の想定範囲を超える成果がみられた。このことについては昨年の第3回ラグビー学会にて報告している。そこで今回は2シーズン目のリーグ戦結果をもとに、あらためてリーグ再編の成果を検証することとした。

【方 法】
 一次リーグ、二次リーグそれぞれにおけるリーグ戦順位の上位チームと下位チームの試合内容に着目し、その得失点差を分析することにより、ゲーム内容(ゲームの質)を検証する。そして前年度との比較により、この制度の有効性を検証する。

【結果と考察】
(1) 2010年度リーグ戦結果
A1一次リーグの結果は以下のとおりであった。1位:朝日大、2位:名城大、3位:中京大、4位:愛学大、5位:愛工大、6位:名学大。また一次リーグの上位2チームと下位2チームの1試合ごとの平均得失点差はそれぞれ32点、-39点であった。
A2一次リーグの結果は以下のとおりであった。1位:中部大、2位:名商大、3位:愛教大、4位:淑徳大、5位:名大、6位:南山大。また一次リーグの上位2チームと下位2チームの1試合ごとの平均得失点差はそれぞれ27点、-35点であった。
プレイオフの結果は以下のとおりであった。
決勝リーグは、1位:朝日大、2位:中京大、3位:名城大、  4位:愛学大。また1位チームと4位チームの1試合ごとの平均得失点差はそれぞれ13点、-19点であった。
A1-A2入替リーグは、1位:愛工大、2位:中部大、3位:名学大、4位:名商大。また1位チームと4位チームの1試合ごとの平均得失点差はそれぞれ43点、-32点であった。
A2順位決定リーグは、1位:愛教大、2位:名大、3位:南山大、4位:淑徳大。また1位チームと4位チームの1試合ごとの平均得失点差はそれぞれ3点、-11点であった。
(2) 前年度との比較  ※(   )内は2010年度
 2009年度リーグ戦では、A1リーグの一次リーグの結果では、上位2チームの1試合ごとの平均得失点差は40点(32点)、下位2チームでは-58点(-39点)だった。A2リーグの一次リーグの結果では、上位2チームの1試合ごとの平均得失点差は33点(27点)、下位2チームでは-34点(-35点)だった。またプレイオフにおける1位チームと4位チームの1試合ごとの平均得失点差は、決勝リーグがそれぞれ21点(13点)、-20点(-19点)、A1-A2入替リーグがそれぞれ32点(43点)、-22点(-32点)、A2順位決定リーグでそれぞれ23点(3点)、-24点(-11点)であった。
  以上(1)、(2)の結果からみると、A1-A2入替リーグにおいて前年度より1試合ごとの平均得失点差が大きくなっているのを除いて、各リーグの上位チームと下位チーム間の実力差が縮まっている傾向が見られる。特にA2順位決定リーグではほとんどのゲームが僅差となっており、リーグ改編のきっかけの一つであったAリーグ残留を視野においたチーム戦略は成り立たないことが示された。さらにA2-Bリーグ間の入替戦でもBリーグ2位チームが勝利するなどリーグ全体の活性化が進んでいるといえよう。

【まとめ】
リーグを再編して2シーズン実施したところ、東海学生ラグビーリーグ全体の活性化は着実に進んでいるという実感を持った。ただAリーグ優勝校の全国大学選手権大会への出場という最大の目標にはまだ至っていないことやBリーグ下位やCリーグの弱体化など今後の課題も多く残っている。