女子ラグビーの現状と問題点 ~ 62人へのアンケートから ~

星野繁一(龍谷大学大学部)  髙木應光(NPO神戸居留地研究会)キーワード :オリンピック、女子7人制、高年齢、練習不足、底辺拡大

【目的】
2016年リオ五輪では、男女とも7人制が正式採用される。従って女子7人制は、今後とも普及が見込まれる。筆者らも女子ラグビーには多くの知識を持ち合わせていなかったが、これを機に女子ラグビーについてアンケート調査・考察することで現状や問題点を把握、提言できると思う。

【調査方法】
昨秋、神戸での「第13回女子ラグビー関西大会」に参加した5チーム(兵庫,京都,大阪,寝屋川,名古屋)の62名からアンケートを回収した。調査項目は以下の通りである。
1)所属クラブ 2)年齢・学校  3)身長・体重  4)ラグビーをするきっかけ  5)ポジション  6)ラグビー以前のスポーツ経験  7)練習場所・回数・専門コーチ・試合回数  8)7人制の戦術・適性  9)現状での不足なこと  10)ラグビーの魅力 11)各自の最終目標

【結果と考察】
2)の項目(以下同様)2016年のリオ五輪時がピーク期と思われる大学・専門学校・高校生らが16名・26%。一方、社会人が41名・66%で多く、そのため平均年齢が28歳と高い。至急、中学生も含め競技人口の低年齢化を進める必要がある。
4)親・兄弟など家族からの影響が25名・40%で最も多く、次いで友人・知人・先生によるものが34%。協会の刺激策によるものは7名・11%に止まる。従来からの協会活動の継続はもちろん、現在の親たちは、かつてのラグビーブーム世代で、この世代への強い働きかけが効を奏するだろう。
6)球技出身者が多く58名・62%を占める。その内訳はバスケットに代表されるゴール型の32名・34%、テニスのようなネット型(含野球型)28%。水泳・陸上・格闘技等も32%、中には体操など表現系も6名いた。他競技からの転向者も活躍可能なことを示している。だが7人制を目標とするとゴール型の出身者の方が有利だろう。
7)練習回数1回/週(以下同様)が34名・55%、2回が15名・24%、3回は12名・19%だった。1・2回合計で約8割を占め、練習不足が感じられる。試合回数では年間2~3回が23名・37%、4~5回が19名・31%。計2~5回で実に7割、試合回数の少なさが大いに問題である。練習に加え試合も不足では、強化もままならない。また中・高生の場合メンバーの少なさが試合回数の少なさの原因である。今後スクールで中・高生の女子部門を拡充する必要がある。
8)7人制の未経験者が21名・34%も存在している。各クラブともメンバー不足を嘆くが、7人制を主とすれば有利ともいえる。だが適性の問題もある。「15人制との戦術上の違いを理解」と回答者プラス「まあまあ理解者」14名・23%を含めても6割弱。戦術の充分なる理解なくしては、勝利もおぼつかない。
9)技術不足・練習時間の不足・体力スタミナの不足などの記入が目立つ。まとめると練習回数・練習時間の不足に起因する回答が、実に9割を占める。平均年齢の高さは、社会的役割の増大と関連し練習不足の原因になっているのだろう。
10)コンタクト系に魅力を見出している回答が半数。集団プレー系への回答者も約半数を占め、共にラグビーの本質に魅力を感じているようだ。
11)五輪出場を目指す人、少しでも強く・上手くなりたい人など競技力向上を目標に掲げた選手が多く38名・60%に及んでいる。一方ダイエット等、健康志向の回答も14名・22%あった。

【まとめ/課題】
 他競技からの移籍も含め女子ラグビーの人口増大。練習時間・回数の増加。そのために男子同様、既存制度での女子中・高・大生部門の確立及び大会の開催。7人制コーチの養成(資格)制度の確立、7人制の戦術理解の徹底。これらが必須であろう。

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