唾液分析による夏季合宿への不安度測定

―学年によって夏季合宿への不安に差があるのか?―

中上 寧(藤田保健衛生大学) 岡本昌也(愛知工業大学) 寺田泰人(名古屋経済大学)
高津浩彰(豊田工業高等専門学校) 伊藤康宏(藤田保健衛生大学)

キーワード:ラグビー夏季合宿、運動ストレス、唾液アミラーゼ、唾液コルチゾール、自律神経

【目的】 
ラグビーの夏季合宿を前にして、どんな選手でも大小はあろうが、幾ばくかの不安を抱えている。そして合宿を迎え、多くの身体的、精神的ストレスと闘いながら自らを鍛え、チームのために粉骨砕身する。一方、これらの活動は学生生活の中の一環の部活動であり、学年ごとに大まかな部内での役割が分担され、好むと好まざるとに関らずそれぞれの役割を果たすことになる。そこから生じるストレスも不安の一部として選手に影響を及ぼすことは想像に難くない。今回、選手ごとにこれらの不安度をどのように受容しているか測定を試みた。

【方法】 
東海学生A1リーグ、A2リーグ、Bリーグに所属する3チームのラグビー部に協力をいただき、夏合宿前後に不安度調査および唾液採取を行った。ストレス度の指標を唾液アミラーゼ活性値および唾液コルチゾール値、唾液DHEAs濃度に求め、心理的な不安度の測定はSpielberger, C.DによるSTAI (State・Trait Anxiety Inventory)およびMann–Whitney U testを一部改変簡略化して用いた。

【結果】
STAIから得られた状態不安得点は合宿前では第1学年と第3学年で高値であったが、合宿後では同じくSTAIから得られた特性不安得点と類似し、学年が上がるに従って低下していた。唾液指標では、夏合宿後において4指標の全てが第3学年で高値を示した。唾液指標は視床下部一下垂体系でのストレス応答系のものであり、唾液アミラーゼ活性は交感神経指標としてストレス応答が比較的早い。唾液コルチゾールおよび唾液DHEAsは副腎皮質から分泌され、抗ストレス性に血中濃度が増加する。コルチゾールの主な目的は糖新生であり、運動のためのエネルギー産生を行う。 DHEAは種々のストレス疾患抵抗性が強く、酸化ストレスなどに抗していると考えられる。

【考察】
全てのチームの第3学年において、合宿前の不安感が高かったのは意外であった。肉体的にも精神的にも完成に近くなっているのが第3学年であり、チームのリーダーとなる第4学年ほどのプレッシャーは感じないのではないかと想像していたからであった。この結果は第3学年の活動的、精神的な役割の高さを表していると考えられるが、それ以外の要因も隠されているのかもしれない。

ページトップに戻る↑

Comments are closed.