ラグビー日本代表ヘッドコーチの役割に関する研究:カーワン、ジョーンズ、ジョセフに注目して

A research of the Roles of Head Coaches of Rugby Japan National Team:

Focusing on Kirwan, Jones, and Joseph

高岡 慎一郎1)
Shinichiro Takaoka

Abstract

The purpose of this thesis is to study the role of the head coach of the Japan national rugby team, analyzing the data related to the three coaches, Kirwan, Jones, and Joseph. Then four roles were identified: “setting clear goals and mindset,” “hard training,” “strengthening teamwork,” and “diversity management.” Advanced studies have extracted roles for managers in the companies, “building relationships,” “human resource development,” “performance management,” and “sharing vision.” Comparing the two studies, it was found that “building relationships”, “human resource development”, and “sharing vision” in the previous study were similar to “strengthening teamwork” and “hard training,” and “setting clear goals and mindset” respectively, in the analysis results. On the other hand, “performance management” was found only in advanced studies, and “diversity management” was found only in the analysis results. Additionally, both Jones and Joseph have hired mental coaches with the aim of improving the team’s mindset and individual player’s performance. This can be considered as an effort to support the roles of the head coach, such as development and mindset, which were identified in the analysis results.

キーワード:ラグビー日本代表 ヘッドコーチ 役割 異文化マネジメント 経営者

1.本稿の目的

 本稿の目的は、ラグビー日本代表[i]ヘッドコーチ[ii]の役割に関して研究することである。

 2003年10月に初めて世界ランキングが発表され、日本は18位でスタートした。しかし、直後に開催のワールドカップ2003で全敗し20位に下がっている。ワールドカップ(以下、W杯)及びテストマッチにおける強豪国との対戦では常に苦戦を強いられ、戦績は大変厳しい状況にあった。これを踏まえ、2007年、日本ラグビーフットボール協会は、日本代表ヘッドコーチの条件として、①日本代表がラグビーワールドカップ2007で2勝を達成するための明確なビジョンを持っていること、②日本代表強化の中・長期的なビジョンを持ち明確に示せること、③ヘッドコーチ任期中は日本に居住可能なこと、④日本の文化・習慣を理解していること、⑤世界レベルの指導経験を持っていることの5点を掲げ[iii]、日本人・外国人を問わず候補者を選定することとした。そこで、起用されたのが、John Kirwan(以下、カーワン)である。カーワンは2011年W杯に向け、グローバルレベルへのマインドセットを軸にチーム作りを進めた。W杯での勝利はならなかったものの、ランキングは安定的に15位以内に位置するまでに上昇した。カーワン退任後、2012年にヘッドコーチに選ばれたのがEddie Jones(以下、ジョーンズ)である。ジョーンズは、世界10位以内、W杯ベスト8を目標に掲げ、厳しいトレーニングを課すことを含め、日本代表チームの浮揚を強力に促した。その結果、2015年W杯で南アフリカからの大金星を含む3勝を挙げ、一時ランキング6位まで上昇するに至った。2016年に後継として、Jamie Joseph(以下、ジョセフ)が招聘された。ジョセフは、多様なバックグラウンドを持つ選手の能力を最大限に引き出すマネジメントを行い、2019年W杯では初めて予選プールを通過し、ベスト8を達成。2023年W杯では2勝という結果に終わったものの、W杯終了直後のランキングは12位に位置するに至った。

2007年にカーワンがヘッドコーチに就任して以降、日本代表は着実に力をつけ、常に世界ランキング10位以内を窺う水準のチームとなった。この間、ヘッドコーチはどのような役割を担ってチーム力を向上させてきたのか。本稿では二次資料分析による整理を試みている。ラグビー日本代表に関する学術論文の蓄積は乏しく、理論的な分析がなされていない分野が多いが、組織のリーダーであるヘッドコーチの役割の研究については、企業経営者の役割の研究との比較を通じて深められる可能性があると考えた。本稿の研究結果を用いて、さらに他分野への援用や、新領域の開拓など、様々な研究の端緒を開くものとしたい。

2.先行研究の検討と研究課題の提示

2-1.先行研究の検討

本稿の分析に先駆け、経営者の役割に関する先行研究を検討する。その後研究課題が示される。

ラグビー日本代表ヘッドコーチの役割に関する論文は、管見の限り見当たらない。それゆえ、先行研究として、類似概念と考えられる経営者の役割に注目することとした。経営者とヘッドコーチの職務には類似点がいくつか見受けられる。1つ目は、大きな権限が与えられているという点である。2つ目は、結果が厳しく問われるという点である。3つ目は、限られたリソースを活用して運営することが求められるという点である。それゆえ経営者の役割に関する先行研究を以下に検討していく。

 Barnard(1938)は、経営者の担う本質的な管理職能は、1.伝達体系を提供し、2.不可欠な努力の確保を促進し、3.目的を定式化し規定するという3点であると主張している。1.伝達体系の提供においては、組織づくりと人員の配置について、2.不可欠な努力の確保の促進については、人員の確保と動機づけ、3.目的の定式化と規定については、ビジョン策定と各部門・各人への割り当てについて述べている。これがBarnardによる経営者の役割の定義であると理解できる。

Mintzberg (1975)は、5人の経営者の仕事の観察研究から、マネージャーの役割を分析し、10の役割を抽出している。Mintzbergはマネージャーを「一つの組織単位を公式に預かる人」と定義し、CEOのみならず、大統領、職長、学長、大司教などを含んでいるが、いずれも役割における共通点は多いとしている。具体的には、対人関係における役割として、「看板」「リーダー」「リエゾン」、情報に関わる役割として、「監視者」「散布者」「スポークスマン」、意思決定にかかわる役割として、「企業家」「妨害排除者」「資源配分者」「交渉者」を挙げている。

 清水(1983)は、企業成長を研究するためには、経営者研究は避けて通れない先決条件であると論じ、実証研究の結果として「経営者機能とは、将来構想の構築、戦略的意思決定、執行管理の3つがある」と主張している。将来構想とは、企業の将来あるべき姿についての考え方であり、戦略的意思決定とは、事業分野の決定なども含め、主に製品戦略の意思決定である。執行管理は、自らそれを行うのではなく、大幅に権限委譲することが重要であると論じている。これら機能が、経営者の役割と責任であると理解できる。

 Kotter(1986)は、15人の事業統括責任者への調査を行い、その職務、人物像、行動などについて考察を行っている。その中で役割については、責任と対人関係という二つの観点から整理している。責任においては、長期的責任(組織の基本的目標、方針、優先順位を設定)・中期的責任(長期的目標を達成するため、いかにして資源を配分するかの意思決定)・短期的責任(配分された資源を効率的に運営)、対人関係においては、上との関係(上司あるいは取締役会に対する報告義務)・横との関係(複数部門や労働組合、顧客、サプライヤーの協力)・下との関係(部下たちの統轄)を挙げている。

 伊丹(2007)は、「経営とは他人を通して事をなすこと」であるとし、人を動かすことが経営の本質であると指摘している。そして人を動かすルートとして、ミクロのマネジメントとマクロのマネジメントがあると主張している。ミクロのマネジメントとは、人間集団を直接率いるマネジメントであり、具体的には、「刺激すること」と「束ねること」であると整理している。マクロのマネジメントとは組織全体の仕事や環境を設計するマネジメントであり、枠づくりによって行うと論じている。具体的には事業の枠では戦略、仕事の基盤の枠では経営システムと場、人がらみの枠では人事と経営理念を取り扱うとしている。

 古野(2008)は、「経営は、論理の積み重ねである戦略と感情をもった人を扱う仕事である」と論じ、課題軸と人間軸を参考にしながら経営者の役割を整理している。1つ目は、「戦略づくり」であり、短期的な利益を追求しつつも、長期的な遠望の中で、継続的発展を追求していく仕事であるとしている。また、その中でも「事業ドメインの設定」や「ビジョンづくり」が重要な仕事であると指摘している。2つ目は、「社員への配慮」であり、「社員一人一人に対して、一人前の人間として向かっているというスタンス、社員をコストととらえるのではなく、価値を生み出す存在だとする人間観が肝要」と主張している。そのようなスタンス、人間観が、組織文化風土を形作り経営と現場の信頼関係を構築すると論じている。

 ここまで経営者の役割に関する先行研究をレビューしてきた。それをまとめたのが以下の表である。

表1.経営者の役割に関する先行研究のまとめ

研究者(発表年)経営者の役割
Barnard (1938)1. 伝達体系の提供 2. 不可欠な努力の確保の促進 3. 目的の定式化と規定
Mintzberg (1975)1. 対人関係における役割 ①看板的役割、②リーダー的役割、 ③リエゾン的役割 2. 情報に関わる役割 ①監視者、②散布者、③スポークスマン 3. 意思決定にかかわる役割 ①企業家、②妨害排除者、③資源配分者、 ④交渉者
清水(1983)1. 将来構想の構築 2. 戦略的意思決定 3. 執行管理
Kotter (1986)1. 責任 ①長期的責任: 組織の基本的目標、方針、優先順位設定 ②中期的責任: 長期的目標達成のため資源配分の決定 ③短期的な責任: 配分された資源で効率的に運営 2. 対人関係 ①上との関係構築(取締役会等への報告) ②横との関係構築(複数部門の協力等) ③下との関係構築(部下たちの統轄)
伊丹 (2007)1. ミクロのマネジメント(人を直接率いる)  ①人を刺激する、②人を束ねる 2. マクロのマネジメント(枠づくり)  ①事業(戦略) ②仕事の基盤(経営システム、場)  ③ヒトがらみ(人事、経営理念)
古野(2008)1. 戦略づくり  事業ドメインの設定やビジョンづくりなど 2. 社員への配慮 組織文化風土の形成、 経営と現場の信頼関係構築等
出所:筆者作成

 これまで経営者の役割に関する研究について見てきた。様々な研究者が長期間にわたり、研究を蓄積してきていることがわかることに加え、その内容には共通する部分も多く見受けられる。

抽出される要素として、進むべき方針や戦略を示す役割があり、これは「ビジョンの発信」として抽象化されるであろう。日常業務の管理や経営資源配分に関する役割は「業務管理」であると考えられる。また、リーダーとしての行動や組織作りについては「人間関係構築」と整理でき、育成や長期的視野からの人とのかかわりは「人材育成」と考えられる。これらは、いわば普遍的な経営者の役割の要素として、「ビジョンの発信」「業務管理」「人間関係構築」「人材開発」という4つに収斂されると言えよう。さらに、これら4つの要素を人、課題という軸と、短期、中長期という時間軸で分類すると、「ビジョンの発信」は中長期の課題、「業務管理」は短期の課題、「人間関係構築」は短期の人、「人材開発」は中長期の人と分類されよう。これらをまとめたのが以下の表である。

表2.経営者の役割に関する先行研究の分類

 短期中長期
課題業務管理ビジョンの発信
人間関係構築人材開発
出所:筆者作成

2-2.先行研究の問題点

先行研究においては、経営者の役割について一定の整理がみられた。企業のトップマネージャーである経営者の業務内容としては、ある程度これまでの先行研究によって明らかにされているといえる。これらは、本稿で取り扱うラグビー日本代表ヘッドコーチというポジションにおいても共通する点があることも想定されるが、更に違うタスクが存在している可能性もある。前述の通り、具体的にラグビー日本代表ヘッドコーチを論じている研究は蓄積に乏しいため、本稿にて以下に詳細を明らかにしていきたい。

2-3.研究課題の提示

研究課題:ラグビー日本代表ヘッドコーチの役割は何か

以上の研究課題を、データを基に分析していく。

3.分析方法

3-1.調査対象

 調査対象は、前述の通り、ラグビー日本代表のヘッドコーチを務めたカーワン、ジョーンズ、ジョセフの3名である[iv]。以下に3名のプロフィールを確認していく。データは書籍やインターネットなどデスクトップ調査にて一般情報を入手した。

①カーワン

カーワンは、2007年~2011年に在任し、2007年、2011年の2回、W杯を指揮した。ニュージーランド出身であり、現役時代はニュージーランド代表としてプレーした。イタリア代表ヘッドコーチの指導歴がある。またNECに3シーズン所属し、ヘッドコーチ就任以前にも日本に滞在していた。出身国以外の国際的バックグラウンドとしては、選手あるいは指導者としてオーストラリア、イタリア、日本の居住歴があり、妻はイタリア人である。

②ジョーンズ

ジョーンズは、2012年~2015年に在任し、2015のW杯を指揮した。オーストラリア出身であり、ニューサウスウェールズ州代表であった。オーストラリア代表、ブランビーズ、レッズ、サントリーにてヘッドコーチとしての指導歴があった。日本では、東海大学やサントリーでの指導に関わり5年滞在していた。出身国以外の国際的バックグラウンドとしては、指導者として南アフリカ、英国、日本に居住歴があり、母、妻が日本人である。

③ジョセフ

ジョセフは、2016年~2023年に在任し、2019年、2023年の2回、W杯を指揮した。ニュージーランド出身であり、ニュージーランド代表、日本代表の経験がある。ウェリントン代表、マオリ・オールブラックス、ハイランダーズでヘッドコーチとしての経験がある。日本では、サニックスにて5年間プレーしており、その間、日本代表としても9キャップ獲得している。

 これらをまとめたのが以下の表である。

表3.調査対象者プロフィールのまとめ

 カーワンジョーンズジョセフ
日本代表ヘッドコーチ在任時期2007-2011 (W杯2007, 2011)2012-2015 (W杯2015)2016-2023 (W杯2019, 2023)
出身国ニュージーランドオーストラリアニュージーランド
選手としての実績ニュージーランド代表ニューサウスウェールズ州代表ニュージーランド代表、日本代表
ヘッドコーチとしての経験(就任時点)イタリア代表オーストラリア代表、ブランビーズ、レッズ、サントリーウェリントン代表、マオリ・オールブラックス、ハイランダーズ
日本滞在歴(就任時点)1997-1999 (NEC)1995-1996 (東海大学) 2009-2012 (サントリー)1995-2000(サニックス)
出身国以外の国際的バックグラウンドオーストラリア、イタリア、日本の居住歴 妻がイタリア人南アフリカ、英国、日本の居住歴 母、妻が日本人日本の居住歴(選手として日本代表)

 

3人を比較すると、共通点と独特の特徴が浮かび上がる。

 カーワン、ジョセフはニュージーランド出身であり、選手として同国の代表としてプレーしているという点で共通点が見られる。

 また、カーワンはイタリア代表、ジョーンズはオーストラリア代表というナショナルチームの指導経験がある点が共通している。

 カーワンはイタリアとのつながりが深く、ジョーンズは日本人の遺伝子を受け継いでいる。ジョセフはヘッドコーチとしてだけでなく、選手としても日本代表としてプレーした点が、独特の特徴であると言えよう。

3-2データの分析方法

前述の通りデータは一般情報を二次資料分析しているものである。得られた情報における、一人ひとりの語りに関する記述に注目し、背景となるストーリーの中からその現実を浮かび上がらせ、詳細な分析を加えることで、変数を見つけることを心がけた。手法としては、事実の背景やメカニズムを明らかにし、そして理解することに有用な質的分析方法を参考に分析を行った。

4.分析結果

ここからは、研究課題である「ラグビー日本代表ヘッドコーチの役割は何か」について、デスクトップ調査で得られたデータを分析していく。調査対象の3人のデータを分析する中で、共通に行っている役割として浮かび上がったのは「明確なゴール設定とマインドセット」「徹底的なトレーニング」「チームワーク強化」「ダイバーシティマネジメント」の4点である。

調査対象の3人はそれぞれ、就任後に明確なゴールを設定し、それをチーム内で発信するとともに、スローガンを掲げてゴールの実現に必要なマインドセットを行っている。また、日本代表として選ばれた選手たちに徹底的なトレーニングを課している。これは各選手の所属チームで行っているものから比べると、質量ともにかなり充実したものである。そして、強いチームワークを実現するための様々な取り組みを行っている。更に、日本人だけでなく様々なルーツを持つ選手の能力を最大限に発揮させるため、ダイバーシティに留意したマネジメントをそれぞれのスタイルで行っていることが分かった。

以下に詳細の分析結果を示す。

4-1. 明確なゴール設定とマインドセット

 1つ目に、明確なゴール設定と、これを実現するために必要なマインドセットである。

 カーワンは、就任直後、日本代表チームの中に「敗者の文化」が漂っていることを察知した。その状況を放置しては、世界の強豪国からの勝利もままならない。そのために「敗者の文化」の払しょくを目標として掲げ、目線を世界レベルに合わせるための取り組みを開始した。このゴールに至る過程では、各プレーにおける各選手の役割を明確にし、責任をもってその義務を果たすことを選手に課すという作業を続けた。例えば、ラインアウトやスクラムといったプロセスの中で、個々の選手がやるべきことを明示し、正確に理解させた。そのうえで、うまく成し遂げるにはどうすればよいかを考えるように促すなどの指導を行った。

 ジョーンズは、日本代表チームが、重要な国際試合にどうしても勝ちきれない現状を、日本が古くから引き継いでいる「農耕気質」にあるのではないか、と認識している。そのうえで、就任後最初のミーティングでは「世界のトップ10に入る」と宣言し、マインドの変化を求めた。グラウンドはもとより、記者会見やインタビューなどの公の場においても、時には感情を露にして現状の打破を訴え続けたことで、チームのマインドセットを図った。

 ジョセフは、選手のベクトルを一つにまとめ、総力を結集させることに注力し、スローガンとして「ONE TEAM」を掲げた。そして、就任時から、W杯での予選突破を目標に掲げてチームを鼓舞し、すべての準備をその目標達成に捧げることを明言した。練習や試合では常にその目標を確認し、チームにビジョンを浸透させた。そして2019年W杯で実現したのは記憶に新しいところである。

 3人のアプローチは異なっているが、その時点のチーム状況に応じたゴールを設定し、その実現を促すマインドセットを行っていることが理解できる。また、カーワン、ジョーンズ、ジョセフの3人の在任期間を通じ、目標は徐々に引き上げられ、チーム力もそれに応じて向上してきた。前任者の築いた地盤の上に、後任者が着実に施策を実行し、結果を積み上げてきたことがわかる。

4-2.徹底的なトレーニング

 2つ目に、徹底的なトレーニングである。

 カーワンは、就任後チームの課題として「技術面の弱さ」を指摘している。例えば、当時の日本代表ではサインプレーの実行に集中するばかりに、アクションの前に相手の陣形を十分に見ていないことがあった。カーワンは「見て」「判断」「アクション」の順番でプレーするよう、発想を転換させるべく、練習では説明を尽くし、理解していることを確かめ、試合で活用して勝てるように指導を重ねた。その蓄積がチームの技術面の底上げにつながると考えたのである。

 ジョーンズは、日本代表チームが体格面で劣ることの対応策としてフィジカル面の強化に注力した。また、日本人の勤勉性に注目し、質量ともにハードなトレーニングを課した。一方で、精神論に偏ったトレーニングは無意味であるとし、常に科学的な根拠に基づいた練習を行い、徐々に試合で効果を実感できるものとなった。結果的にハードなトレーニングは、選手としても自信をもって試合に臨める状況を作り出した。

 ジョセフも、チームに「タフさ」を求めた。タフさを、普段と異なる状況でも定められたタスクを淡々と遂行できることと定義し、合宿では夜間練習込みの猛練習を組むこともあった。また、メンバーが各ポジションで世界最高の選手になることを求め、トレーニングではGPSや心拍数を細かくチェックして本人の力を出し切る状況を作り出し、フィットネスの強化に努めた。ジョセフは、日本人選手が猛練習に親和性があることを認識しており、タフなトレーニングによるチーム力の向上を軸に据えていた。一方、ジョーンズと同様に、トレーニングの合理性や密度にもこだわり、練習時間を短縮したり、休日を増やしたりすることでメリハリをつけたスケジュールを組むこともあった。

 これらのトレーニングについては、日本の所属チームのそれとは、一味違うものとして選手に受けとめられている。世界トップレベルを経験した指導者からの直接指導はもとより、常に世界で勝つことを念頭に置いた練習の激しさやその合理性、また、緩急をつけたスケジュールなど、選手にとっては大きなインパクトを与えていたことが想定される。

4-3. チームワーク強化

 3つ目に、選手同士、またヘッドコーチと選手を含めたチーム全体のチームワーク強化である。

 カーワンは、2011年W杯前には、あえて連戦のテストマッチを組んだ。連戦へ対応するためには、様々な準備が必要であることから、あえて選手に考えさせる意図があってのものであった。その結果、全員がテストマッチでどうすれば勝てるか、なぜ負けたのかの共通認識を持てるようになった。このプロセスを経験させることによりチームワーク強化を図っていると考えられる。

 ジョーンズは、一人ひとりの選手に対して自らの子どものように親しみをもって接した。それゆえ、成長を期待してプレー内外に関わらず規律を厳しく求め、意図的に試練を与えたり、叱責したりすることも躊躇なく行っていた。選手は、一時的には感情的なわだかまりを持つが、時間の経過とともにジョーンズの行動の意図を理解し、強固な信頼関係を築く場合が多く見られる。ジョーンズを中心とする人間関係を基盤としたチームワークの強化を実現していった。

 ジョセフは、様々な枠組みを持つグループを編成して、チーム全体のチームワークを醸成させていった。まず、リーダーズという仕組みである。キャプテンの下にリーダー格の選手を数名任命し、ヘッドコーチの権限を委譲し、キャプテンと共にゲームプランのすり合わせを行う目的のグループを組織した。またポジションごとのグループや各戦術におけるユニットごとにグループを組織した。その他、数名でディナーに出かけるグループも編成。大所帯であるメンバーで一人ひとりが孤立せず、偏ることもなく、充実したコミュニケーションを取れる状況を作り出した。

 チームワークについては、そのチームとしての成熟度によっても最適な方式は変わってくる。カーワンは、全員で自ら考えることを通じたチームワークを志向し、ジョーンズは、自らとの緊密な関係づくりでそれを発展させた。ジョセフは、選手の中で様々なリーダーを設定したうえで全体のチームワークを向上させることを目指しており、日本代表という集団に対する取り組みを段階的に変化させていったことがわかる。

4-4. ダイバーシティマネジメント

 ワールドラグビーの競技に関する規定第8条[v]では、加盟協会の代表チームのメンバーとしての出場資格基準について規定している。代表資格は(1)その国・地域で出生、(2)両親または祖父母のうち1人がその国・地域生まれ、(3)直前の5年間継続居住(2021年末までは3年間)、(4)通算10年居住、のうち、どれか1つを満たせば取得できる。国籍要件だけではなく、居住要件の選択肢もあることから、他のスポーツと比べ、ラグビーのナショナルチームの選手は、多様な国籍やルーツを持つメンバーで構成されることが多い。日本代表も例外ではない。2023年W杯のメンバー33名のうち、日本以外の出身者(ニュージーランド、オーストラリア、トンガ、サモア等)は約半数を占め、中学・高校・大学など学生時代から、あるいは社会人ラグビーの選手として、一定期間以上日本に滞在している。多様な選手が集まるチームで、ヘッドコーチは多様性を受け入れ、チームの力を最大限発揮できるように取り組んでいる。

 カーワンは、様々なルーツを持つメンバーが、共通の価値観を共有することの難しさに直面した。「勇気」や「誠実さ」など、言葉によっては国によっても捉え方が違うことがある。チームの基本としての価値観を構築するにあたり、日本人の精神性に注目し、その中心に位置するのが「武士道」であると認識した。武士道で説かれている七つの美徳[vi]と結び付けてチームの価値観を擦り合わせていくことに注力し、その過程で、日本以外の文化をバックグラウンドとするメンバーも包摂していくマネジメントを行った。

 ジョーンズは、日本らしさを追求し、「ジャパンウェイ」と称した粘り強いフィジカルと、体格面の不利を補う独特のラグビースタイルの構築を進めた。スピードと、わずかなチャンスを逃さない抜け目なさが重要であると強調し、これを浸透させるために、忍者をモチーフにしたシンボルマークを作成した。そこに必要な要素を込めて拠り所にし、チーム内で配られるメモに常に印刷することにより、潜在意識に働きかけることを狙った。日本人のみならず外国人にとっても、このマークを目にするたびに、忍者の素早い動きと鋭い観察眼を想起し、行動につながるというものである。行動面の目標を共有することにより徐々に信頼関係を築き、日本独自のスタイルを浸透させていった。

 ジョセフは、「グローカル」なマネジメントを志向した。グローカルとは、グローバルとローカルを重ね合わせた造語であり、多文化を理解しあおうという気構えを言語化したものである。例えば、食事前の15分を利用して、レクリエーションやワークショップを行う。キャプテンのリーチが日本の歴史に関してレクチャーを行ったり、遠征先では、その国出身の選手がその土地についての気候や文化についてレクチャーしたりすることもあった。多文化のバックグラウンドを持つ選手のグローバルな思考や行動様式をローカルな日本のラグビーに取り込んでいったのである。

4-5.まとめ

 ここまでラグビー日本代表ヘッドコーチの役割に関連し、質的データを分析してきた。役割としては、「明確なゴール設定とマインドセット」「徹底的なトレーニング」「チームワーク強化」「ダイバーシティマネジメント」に大別され、それぞれで行われた具体的なタスクについても確認できた。

それらをまとめたのが以下の表である

表4.ヘッドコーチの役割に関する分析結果まとめ

役割内容(カーワンをJK、ジョーンズをEJ、ジョセフをJJと示す)
明確なゴール設定とマインドセット「敗者の文化」を払しょくし、世界レベルへ(JK) 農耕気質を脱却し、世界のトップ10へ(EJ) ONE TEAMでW杯優勝へ(JJ)
徹底的なトレーニング試合後のビデオを共に視聴、説明に重点を置く技術面の指導(JK) 科学的な根拠に基づいたハードワークを課す(EJ) 合理的でタフな練習とブレイクの効果的な活用(JJ)
チームワーク強化連戦においてチームの連帯感を強める仕組み(JK) 選手個人への積極的に関わりチームへの意識を向上(EJ) 複数リーダーの設置(リーダーズ)などによるチーム運営(JJ)
ダイバーシティ マネジメント武士道を重んじ、外国人を包摂するカルチャーづくり(JK) 信頼関係を基盤としたジャパンウェイ(EJ) グローカルなマネジメントにより多文化共生(JJ)

3人のヘッドコーチは、10数年にわたり、ラグビー日本代表に対し、チーム力向上を目的とした関わりを継続してきた。その積み重ねにより、チームの総合力は着実に向上している。各人の特徴的な取り組みとして、カーワンは「真の世界レベルに向けたマインドセット」、次にジョーンズは「厳しい規律を通じたチーム力向上」、ジョセフは「自分たちで考えるチーム運営」であったと考えられる。

5.考察

ここからは、ラグビー日本代表ヘッドコーチの役割に関するデータの分析結果について考察を加えていくことにしたい。

5-1.先行研究と分析内容の比較(類似点)

 先行研究において、経営者の役割と責任を検討した際、「ビジョンの発信」「業務管理」「人間関係構築」「人材開発」に関する役割を抽出した。

 本稿におけるラグビーヘッドコーチの役割の分析においては、「チームワーク強化」「徹底的なトレーニング」「明確なゴール設定とマインドセット」「ダイバーシティマネジメント」の4つが見いだされた。

両者を比較し、先行研究における「ビジョンの発信」と分析結果における「明確なゴール設定とマインドセット」、同じく「人間関係構築」と「チームワーク強化」、また「人材開発」と「徹底的なトレーニング」、は類似していることがわかった。これらは、いずれも共通に、組織のトップとして重要な役割と責任であると考えられる。

5-2.先行研究と分析内容の比較(相違点)

 経営者の役割と責任に関する先行研究とラグビーヘッドコーチの分析内容の比較において、相違点が2点ある。「業務管理」は先行研究にのみ見出され、「ダイバーシティマネジメント」は分析内容にのみ見出された。これらの背景を以下に考察していく。

 「業務管理」については、経営者において重要な役割であることは言うまでもない。もちろん、ヘッドコーチも業務管理に近い役割を負っていることは十分想定できるが、今回の調査では明確な記述を見出すことはできなかった。この背景として、ヘッドコーチの主要な職務範囲は、現場における選手のコーチであり、マネジメントはGMが担うという役割分担にあることが考えられる。

 次に、「ダイバーシティマネジメント」について、ラグビー日本代表ヘッドコーチについては、多様なルーツを持つ選手で構成されるチームはダイバーシティに富んでおり、そのマネジメントが重要な役割であることは疑いの余地がない。一方で、一般的な経営者は様々な事業形態や社員構成の会社を経営していることから、必ずしもダイバーシティが共通の定義として浮かび上がってくるわけではなかったと推論できる。

5-3.先行研究と分析結果における比較のまとめ

 ここまで、先行研究と分析結果の比較を行ってきた。

先行研究における「業務管理」と、分析結果の「業績管理」、同じく「人間関係構築」と「人材マネジメント」は類似しており、これらは、いずれも共通に、会社の責任者として重要な役割であると考えられる。一方で、「ビジョンの提示」は先行研究にのみ見られ、「ダイバーシティマネジメント」は分析結果にのみ見られる役割であることがわかった。

 これらをまとめたのが以下の図である。

表5.役割に関する先行研究と分析結果の比較まとめ

先行研究 (経営者)分析結果 (ヘッドコーチ)考察
人間関係構築チームワーク強化類似した役割
人材開発徹底的なトレーニング類似した役割
業績管理経営者のみに見られる。ヘッドコーチとGMとの役割分担が背景にあると考えられる。
ビジョンの 発信明確なゴール設定と マインドセット類似した役割
ダイバーシティ マネジメントヘッドコーチ飲みに見られる。チームのメンバー構成がダイバーシティに富むことが背景にあると考えられる。

5-4.メンタルコーチの存在

 ジョーンズとジョセフは、いずれも①チームのマインドセット、②各選手のパフォーマンス向上を目的に、メンタルコーチを招聘している。これは、分析結果における、マインドセットや育成といったヘッドコーチの役割を補強する取り組みであると言えるだろう。

 ジョーンズは、日本人女性である荒木香織を起用している。荒木は、チームとのミーティングを重ね、「勝つ文化がない」という課題を見出し、その根本にあるのは選手が日本代表チームに誇りを持てていないことであろうと考えるに至った。それでは誇りとは何か、誇りを持つにはどうすればよいのかを選手主体で考えるように促した結果、選手主導の議論において、試合前の国歌斉唱で「君が代」をみんなで歌える状態を作り出すという結論に至った。日本人も外国人も一体になって、君が代の歌詞の意味を調べ、練習し、歌詞を覚える過程で、チームに対する誇りを少しずつ持つようになっていった。

 また、荒木は、個別の選手では、フルバックの五郎丸歩への支援に最も注力した。メンタルコーチとして導入したのはキック直前に行うルーティンである。理論的にもルーティンはその後のパフォーマンスを向上させると言われており、内的・外的障害の排除、プレーの修正しやすさ、ストレス軽減などの効用がある。荒木は五郎丸との対話を重ね、①蹴る前にしゃがんでゴールポストを見て、ボールを2回回してセットする、②立ち上がり、後ろに五歩下がり、その後左に二歩動く、など5工程のプレ・パフォーマンス・ルーティンを作り上げた。その後、五郎丸のキック成功率は飛躍的に向上した。

 次にジョセフは、ニュージーランド人男性であるデイビッド・ガルブレイスを起用している。ガルブレイスは、フィジカルを鍛えながらもメンタルも鍛える「ミツアナグマ精神鍛錬法」を導入した。ミツアナグマとは、非常に生命力の強い小動物である。選手に対して、朝から晩まで、意図的に肉体的に負荷の高いトレーニングを課し、さらに反復運動など精神的にも厳しい状況に追い込んでいく。そのようなストレスの高い状態でも、通常と同様正しい判断を求めるものである。特に、フッカーのスローイングやキッカーのゴールキックの精度向上に注力した。限界を超えることで、不快な状態でも快適に過ごせる精神力を身に着ける。成長を促し、安定したパフォーマンス発揮によるマインドセットを実現する狙いをもって行われた。

 個別の選手では、スタンドオフの田村優への関わりを重視した。田村はキッカーとしてのプレッシャーから緊張状態が続いていた。ガルブレイスは、田村と対話を重ね、「結果は二の次である」「成功かどうかは、思いっきりキックできるかどうかのみで決まる」「キックするプロセスのみに集中すること」などと説き、マインドの枠組みを変更することを試みた。その結果、田村は、いかなる状況でも雑念を取り払いキックに集中できる精神力を身につけた。

これらをまとめたのが以下の表である。

表6.メンタルコーチの行ったヘッドコーチの支援のまとめ

ヘッドコーチメンタル コーチマインドセット個別選手のパフォーマンス
ジョーンズ荒木日本代表チームに誇りを持つための君が代の斉唱五郎丸のプレ・パフォーマンス・ルーティン構築
ジョセフガルブレイスミツアナグマ精神鍛錬法により、不快な状態でも快適にプレーできる精神力田村のマインドの枠組みを変更

 いずれのメンタルコーチも、チーム全体及び個別選手への関わりでチームのパフォーマンス向上に貢献していたことがわかる。チームのマインドセットを行うことにより、チームとしてのベクトルの共有や、選手のあらゆる行動やプレーに変化を起こすことが想定される。また、戦略上キックは重要である。日本代表は世界の列強に比べて体格や体力で劣る分、キックで小刻みに点数を重ねていくことは勝利への必須条件であり、その中で、キッカーのメンタルを成長させ、成功率を改善したことで、チームの得点能力を大きく向上させた。

6.本稿の貢献

冒頭にも述べたとおり、ラグビー日本代表に関する学術論文の蓄積は乏しい。本稿においては、組織のリーダーであるヘッドコーチの役割の研究については、経営者の役割に関する先行研究と照らし合わせることで分析を行い、先行研究との類似点や相違点を見出すことで、具体的な事象を通じて、様々な視点とともに新たな知見を提供した。

本稿は、理論的にはまだまだ未開拓の領域であるラグビー日本代表ヘッドコーチの役割に関する研究の発展に貢献するものであると言えよう。また、本稿は、企業経営者の役割との比較を通じ、組織のリーダーの役割に関して、独自の側面から考察を行ったものであり、この結果を他分野の様々な組織におけるリーダーの研究への援用や、研究の新領域の開拓などに活用されることが期待される。

7.今後の課題

 本稿は日本代表ヘッドコーチに関する研究であるが、3名の事例研究にとどまっていることから、本稿で見出されたことの普遍性はまだまだ乏しい。また、外国人に限っており、日本人との相違点の有無についても検証ができていない。今後、この3人以外のヘッドコーチに関する調査を行うことで、さらに普遍的な知見が得られるであろう。

 本稿においては、同じく組織の責任者である経営者との対比を検証することで、ヘッドコーチの役割の現実を描写し、詳細な分析を加えることで、変数を見つけることを試みているが、大学ラグビーの監督や、野球・サッカーなど日本における別のプロスポーツの監督についての研究を行うことで、更に多面的な考察が可能になる可能性もある。今後の本研究を深めるにあたり、検討の余地があると考えられる。

 また、本稿は一般情報を活用した研究であることから、二次資料分析にとどまっており、十分に各人物の行動や発言の意図をくみ取ったかどうかは疑問が残る。可能な限り、取材などの直接的な情報収集を加えることで、さらに精度の高い情報をもとにした検討が可能になる。

 本稿の目的は、日本代表ヘッドコーチの役割に関する理解の進化であったため、質的な探索的調査となっている。そのため、役割の大きさや重さを評価する観点に欠け、変数間の関係を理解するには至っていない。今後は、それらの統計的検証が求められる。

以上を今後のさらなる課題としたい。

<引用・参考文献>

荒木香織(2016), 『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』講談社.

Barnard, C.I.(1938), The Functions of the Executive,
Harvard University Press(山本安次郎・田杉競・飯野春樹 訳『新訳 経営者の役割』ダイヤモンド社, 1968年).

藤井雄一郎(2020), 『ONE TEAMはなぜ生まれたのか:世界と戦う力』PHP新書.

藤井雄一郎・藪木宏之(2020),『ラグビー日本代表ONE TEAMの軌跡』講談社.

古野庸一・リクルートワークス研究所(2008), 『日本型リーダーの研究』日経ビジネス人文庫.

Galbraith, D.『才能を解き放つ勝つメンタル』 (2021), マガジンハウス.

平尾誠二・金井壽宏(2010), 『型破りのコーチング』PHP研究所.

廣瀬俊朗(2015), 『なんのために勝つのか。:ラグビー日本代表を結束させたリーダーシップ論』東洋館出版社

廣瀬俊朗(2019), 『ラグビー知的観戦のすすめ』角川新書.

伊丹敬之(2007),『経営を見る眼』東洋経済新報社.

Jones, E. (2016), 『ハードワーク:勝つためのマインド・セッティング』講談社.

Jones, E. (2020), My Life and Rugby, Macmillan, an imprint of Pan Macmillan,a division of MacmillanPublishers InternationalLimited(高橋功一訳『わが人生とラグビー』ダイヤモンド社,2021年).

Jones, E.・持田昌典 (2017),『勝つための準備』講談社.

Kirwan, J. (2007), 『勝利がすべてを変える』ぴあ株式会社.

Kotter, J.P.(1986), The General Managers, The  Free Press(金井壽宏・加護野 忠男・谷光太郎・宇田川富秋訳『ビジネス・リーダー論』ダイヤモンド社, 2009年).

Mintzberg, M. (1973), The Nature of Manageria Work, Harper Collins Publishers Inc. (奥村哲史・須貝栄訳『マネージャーの仕事』).

岡島正明(2007),『日仏ラグビーとエリサルド』幻冬舎ルネッサンス.

清水龍瑩(1983),『経営者能力論』千倉書房.


[i] 本稿においては、15人制男子日本代表について取り扱う。

[ii] いわゆる「ヘッドコーチ」についての定義はさまざまである。日本代表はそれまで監督職を設置していたが、Japan Rugby Website 2005年9月17日付プレスリリース(https://www.rugby-japan.jp/news/6334)において、「マネジメント部門を統括するジェネラルマネージャー(以下=GM)と、グラウンドで実際に指揮をとるヘッドコーチ」と発信されている通り、GMとヘッドコーチに分離しており、ヘッドコーチは、日本代表選手のコーチに特化する役割であることがわかる。なお、GMはチームの全体マネジメントの役割を担う。現在はナショナルチームディレクターという名称となっているが、本稿においてはGMという表現で統一して記載している。

[iii] Japan Rugby Website
2007年1月9日付プレスリリース(https://www.rugby-japan.jp/news/5791)より

[iv] 2023年12月13日、日本ラグビーフットボール協会はEddie Jonesが2024年1月から再びヘッドコーチに就任することを発表した。本稿におけるJonesに関する記述は、第1回目に就任した当時のものに限定する。

[v] World Rugby: REGULATION 8. ELIGIBILITY TO PLAY FOR NATIONAL REPRESENTATIVE TEAMS (https://www.world.rugby/organisation/governance/regulations/reg-8)

[vi] 義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義 これら7つが挙げられる。

ラグビーフォーラムNO.15-16合併号

JAPAN RESEARCH JOURNAL OF RUGBY FORUM No.15-16(August 2023)

ラグビーフォーラムNO.15-16(2023年8月発行)

故 溝畑寛治先生追悼文

  1. 恩師溝畑寛治先生を偲んで
    三神 憲一  滋賀大学体育会ラグビー部総監督 滋賀大学名誉教授   
  2. 大恩ある溝畑寛治先生を偲んで
    川端 泰三  日本ラグビー学会理事 関西大学
  3. 日本ラグビー学会設立に向けて
    石指 宏通  日本ラグビー学会会長 奈良県立医科大学

No.15

  1. 旧制・甲南高等学校シリーズ①
    世界的数学者 角谷静夫 〜「頭脳流出1号」と言われた元ラグビー選手〜
    髙木應光(神戸居留地研究所) 西村克己(追手門学院大学)
  2. 旧制・甲南高等学校シリーズ②
    平生三郎 〜何ごともラグビー精神で〜
    髙木應光(神戸居留地研究所) 西村克己(追手門学院大学)

No.16

  1. 夏期合宿期間のラグビー競技者に対する経皮的吸引療法が
    施術前後のVASの変化に与る影響

    河野義久(環太平洋大学)
  2. ボールキャリアの被タックルにおけるマウスガード装着が頭部に与える効果
    〜頭部加速度測定とアンケート調査
    中井悠人(大阪教育大学大学院) 石川美久(大阪教育大学)
  3. 関西大学ラグビー部台湾遠征  〜昭和6年と昭和9年〜
    池田辰彰(玄奘大学;台湾)
  4. 理想のラガーマン
    〜高橋勇作は、ジェントルマンだった〜
    髙木應光(神戸居留地研究所) 西村克己(追手門学院大学)

日本ラグビー学会第17会大会開催のご案内

2024年3月23日(土)にて、第17回日本ラグビー学会総会及び学術集会を開催いたします。

テーマ:学校教育での育成の課題(仮称)

開催場所:関西大学堺キャンパス
     大阪府堺市堺区香ヶ丘町1-11-1  【南海高野線:浅香山駅】
開催日時:2024月3月23日(土)10:00〜16:00

スケジュール
   9:20〜  受  付
   10:00〜  一般発表
   13:00〜  総  会
   14:00〜  シンポジウム
   16:00〜  意見交換会(懇親会)

*大会参加及び意見交換会の参加申込は下記、参加申込QRコードからお願いします。

参加・発表申し込み :2月下旬
 プログラム発表(サプリメント)3月初旬

参加費
  学会会員:  1,000円
  非 会 員:(共同研究者として連名)3,000円
  一般参加:公開プログラム参加無料

論文投稿締め切り:3月末

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