生まれ月(月齢)による精神的なスポーツ活動への影響

生まれ月(月齢)による精神的なスポーツ活動への影響

桑田大輔(生駒少年ラグビークラブ)

キーワード:最大暦年齢差、月齢能力差、ムーンスパイラル

(目的)
近年、子ども達のスポーツ開始年齢が、4歳児からと聞いても特段の驚きはない。クラブでは、4歳児と5歳児(4月2日~4月1日生まれ)が同級生としてグルーピングされ練習する。この年代では、生まれてからの最大時間差(最大暦年齢差)が25%と大きな差異がある。
そこで、生まれ月(月齢)による精神的・身体的な能力の差異(月齢能力差)が、スポーツ活動・教育・その他にどのように作用するのか、トップアスリート(発達促進者)に与える影響がどの年代で、どのような要因で発生するのかを調べた。この調査により、月齢能力差がある中で、子ども達の累進的な素質に応じた成長を促進するシステムを、構築できるのではないかと考えた。

最大暦年齢差率

最大暦年齢差率

(方法)
各スポーツ団体・教育機関・その他のトップアスリート(発達促進者)の生まれ月を集計する。その時に、外国選手を除く・人口動態統計・日数割合も考慮した実数(デモグラフィック変数)に近い月別出生数表を作成する。多数の月別出生数表と、各年代のスポーツ競技人口の推移を調べる。

(結果)
全体的にトップアスリート(発達促進者)は4~6月生まれの人数が多い(ムーンスパイラル)。従来「月齢能力差が精神的な差異に繋がる」と考えられてきた。子ども達は、月齢能力差を日常的に幼少の時期よりいろいろな場面で感じてきただろう(走っても、飛んでも、投げても、大きな差異がある)。その結果、各競技団体のトップアスリートは、必ず4~6月生まれが多くなるはずだ。
しかし、生まれ月(月齢)による影響が、ほとんどないスポーツがある。上記の考えと符合しない原因は、どこにあるのか?
その差異が特定の要因で発生することがわかった。

●月齢能力差での精神的な差異だけでは、ムーンスパイラル(アスリートの月別出生数問題)は発生しない。
●各競技人口の推移には、ムーンスパイラルに繋がる様な特定の差異はない。
●小・中・高校の競技者総数が、少ない競技でも多い競技でもムーンスパイラルがある。
●競技開始年齢が早い子どもほどトップアスリートになる割合が多い。
●専制指導下で、中学校から競技人口が激増するスポーツでも、ムーンスパイラルがある。

(考察)
友達・子ども同士間の月齢能力差による、勝敗からくる精神的ストレス(有能感・劣等感)は小さく、コーピングで、ほとんど解決する。各競技スポーツの月別出生数表は、子ども達の処理能力を超える大きなストレスが、ムーンスパイラルの発生要因だと示している。
日本の学校教育制度の中で同じ学年の友達・仲間同士は、コミュニティーを形成しており、学年の意識は非常に強く、生涯続く。月齢能力差と学年が、考慮されない枠組みを取り入れたシステムは、精神的にも未発達なこの時期に、大きなストレスとなる。

(結論)
子ども達が、生まれ月(月齢)に関係なく、素質に応じた成長をすることで、トップアスリート(発達促進者)の割合が増加し、スキルアップの機会も増える事から、日本の競技力はアップする。
そのためには、子ども達の処理能力の限界を超える大きなストレスを与えないような指導者(大人)と、育成システムが必要である。

ページトップに戻る↑

Comments are closed.